【クラシック話】ヨハネス・ブラームス作曲「交響曲第3番ヘ長調」【好きな音楽紹介】
Ricca - 10月 18, 2024こんにちは、立夏です。
そろそろ季節も秋に入って涼しめになってくる頃合い……かと思いきや、まだまだ安定しない日々が続きますね。
さて、今回は閑話休題ということでヨハネス・ブラームス(以下、ブラームス)が作曲した3番目の交響曲を紹介していく記事を書こうと思います。
たまには書きたくなるものなのですよ……笑
最初の好きな曲紹介ではヴィルヘルム・フルトヴェングラー作曲「交響曲第2番ホ短調」という、いきなり高難易度かつレアなところを書いていたのですが、今回はもっと(曲の内容も、チョイスとしてのハードルも笑)穏やかな選曲です。ご安心くださいませ……✨✨
おそらくそうじゃないかな?という話
おそらく、いわゆる教科書的な理解からブラームスの交響曲の世界観に入った場合、
- 「交響曲第1番ハ短調」が先人であるベートーヴェンの後継たる名作である。これは必聴ナンバー
- 渋い趣味を持っている方は「交響曲第4番ホ短調」を好む人が多い。たまに「交響曲第2番ニ長調」も聞くことがある…
といった程度で、この3番は割とスルーしている人も多いのではないでしょうか?第3楽章のみ多少、聴いた程度くらいの理解みたいな。
超個人的!この曲のおすすめポイント
ということで、存外「全然聴いたことがない。よく知らない……」というお方の多いかもしれないこの交響曲の見どころを個人的な観点から書いていきたいと思います!
本交響曲を楽しむ最大のポイントは、ブラームスの音楽が醸し出す「酸いも甘いも知った大人のような黄昏(たそがれ)た味」がある音楽観を感じきることだと思っています。たとえ話でなく、まさにじっくり味わって読む長編小説のような趣きがありますし……
単純な演奏時間はブラームスが作曲した交響曲の中では最短ですし、聴き始めたらあっという間に過ぎていくと思います。
私自身の感想をつらつら書いていくと、この楽曲と出会った際に聴いた録音は、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の1954年ライブ録音の音源でした。
その少し前に、近所の学生オーケストラの定期公演でも聴いた記憶があります。
Audite(アウディーテ)というところから発売されていた、全てヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮ベルリンフィルとの録音で約10枚組のCDボックスだったのですが、この楽曲「交響曲第3番ヘ長調」のいずれもライブ録音が1949年のものと、1954年の演奏記録が収録されていたのです。
私自身は、そのうち1954年の演奏録音の方に心が惹かれました。
このジャケットのボックスだったと思います。
さて、そちらの演奏記録を聴いた際の印象ですけど、ブラームスらしい情熱的な面を持ちつつも、黄昏(たそがれ)た魅力も持ち合わせた味のある音楽性だと思い、非常に感動しました。
第1楽章では心の揺れを表すかのような変拍子が登場するのですが、出だしでモチーフを提示する部分の迫力に心が打たれ、展開部の終わりのE♭(フラット) majoyになるホルンソロ前で一瞬、まるで何かの精神的な危機のように音楽が止まるのにも衝撃を受けています。
「ブラームスの子守唄」など、歌曲も多数作曲された作曲家であるブラームスらしく全体の随所に見られる魅力的でひなびた印象のメロディも、テンポを落としてよく歌われているなと思いました。
第4楽章終わりの静かに終わっていくシーンまで、リードされるがままに気づいたら最後まで聴いていたのですよね。
ここまで心に引っかかるのは、滅多にないことでした……
強いて別ジャンルで例えるのであれば、小説ではヘルマン・ヘッセの「郷愁」「春の嵐」やトーマス・マンの「トニオクレーガー」、映画では「ニューシネマパラダイス」「嵐の青春(Kings Row)」辺りを見た際の印象に近い感じです。夏目漱石や梶井基次郎の「檸檬(れもん)」も思い浮かびますね。
なんというか、そういった真面目な文体で、かつ後に残る余韻のある物語のような存在なのです。
ここはじっくり聴きたい箇所
- 第1楽章 主題提示部より第二主題
情熱的な部分の後で訪れるこの静寂が大好きなのです。クラリネットから入ってくる切ないメロディが非常に魅力的……
- 第2楽章冒頭 木管楽器のアンサンブル
これはとても美しい、木管楽器によるアンサンブルの部分になります。この第2楽章の最初に出てきた後、最後に再び登場するのも高ポイント。
- 第3楽章 様々な楽器で歌い継がれるメロディ
おそらく、この交響曲で一般的に有名なのはこの部分でしょう……笑
素晴らしいメロディが楽器を変えながら展開されていく様は、まるで川が自然に広がっていくような趣があって切ないですね……
まとめ
以上、本当に私的な印象メインで書いておりますけれど……
ご自身の心にまだ刺さらないのに、無理をして聞く必要はない音楽だと思っています。刺さり始めたら、一気にこの独特の黄昏にハマってしまいますからね……笑
立夏